新型コロナ感染拡大前と現在で、購入が増えた冷凍食品ある人は3割
最初に、普段冷凍食品を購入する人(N=2609人)に、「新型コロナ感染拡大前と現在において、購入が増えたと感じる冷凍食品はあるか」尋ねると、およそ3割「購入が増えた冷凍食品がある(28.3%)」と回答しました。
「購入が増えた」上位回答は 餃子・からあげ・米飯・パスタなど
購入が増えた冷凍食品がある人(N=738人)に、その商品を尋ねると、5割を越えたのが「餃子(61.4%)」、「からあげ・竜田揚げ(52.0%)」で、「メインにもつまみにもなる」、「昔より美味しくなって、温めるだけで十分に晩御飯のおかずになる」といったコメントが多くみられました。それに次ぐ、「チャーハン・ピラフ(46.7%)」、「パスタ(43.5%)」は、「テレワークのランチでパスタやチャーハンを食べる機会が増えたため(50代男性)」といった声が多く挙がり、在宅勤務中のランチに重宝している家庭が多いことがわかります。
また、料理用の冷凍素材を充実させるスーパーも増えており、「冷凍野菜(42.3%)」の他、「冷凍・魚などの切り身(19.5%)」、「冷凍・肉類(18.0%)」、「冷凍・果物類(17.6%)」の購入が増えたと感じる人が、およそ2割となりました。
その理由としては、「買い物の回数を減らすために、保存がきく冷凍野菜や果物、魚の切り身などが増えた(女性40代女性)」コロナ禍での買い物行動の変化や、「冷凍野菜は価格が安定し、下茹での必要がなく調理が楽。(50代女性)」「間食や朝食など、手軽な冷凍フルーツを食べるようになった(40代女性)」、料理時間の短縮や利便性、健康意識により購入するようになった人もみられました。
次からは、当社が独自に収集する「冷凍食品」のレシートデータから(調査期間:2021年1月~9月)購買行動を分析していきます。
業態別では、「スーパー(N=179,028枚)」・「コンビニエンスストア(N=30,360枚)」・「ドラッグストア(N=20,627枚)」の購入状況(レシート1枚あたりの平均購入個数・購入金額)と、スーパーのチェーン別では、「イオン(N=8,590枚)」、「イトーヨーカドー(N=4,227枚)」・「オーケー(11,488枚)」・「ライフ(6,225枚)」をセレクトして、購入商品をみてきましょう。
冷凍食品の平均購入金額ドラッグストアがスーパーを若干上回る
まず、上図の業態別では、「スーパー」・「コンビニエンスストア」・「ドラッグストア」の冷凍食品のレシート(2021年1月~9月平均値)から、購入状況(レシート1枚あたり:平均購入点数と平均購入単価)をみると、購入点数は<1.3~1.5個程度>、平均購入金額は、「スーパー(315円)」と「ドラッグストア(324円)」が横並びで、「コンビニエンスストア(258円)」となりました。
スーパーのチェーン別では、「平均購入金額(343円、4チェーンの平均値)」で、平均値を上回ったチェーンは「イトーヨーカドー(368円)」、「オーケー(347円)」でした。
どういった冷凍食品が購入されているか、チェーン別で詳しくみていきましょう。
スーパーのチェーン別購入状況は?
図は、「イオン」・「イトーヨーカドー」・「オーケー」・「ライフ」の冷凍食品購入レシートの冷凍食品購入レシート(2021年1月~9月平均値)におけるブランド別レシート出現率を表したものです(上位10ブランドまで)。
図表2で述べた、「新型コロナ感染拡大前と現在において、購入が増えたと感じる冷凍食品」で上位回答をとなる、餃子は「味の素 ギョーザ」や「イートアンド 王将餃子」、冷凍パスタや炒飯は、「日清フーズママ―」や「ニップン オーマイ」、「ニチレイ 本格炒め炒飯」といった商品が、一定数購入されていることがわかります。
また、「イオン(トップバリュ)」、「イトーヨーカドー(セブンプレミアム)」における、10位以内のPB(プライベートブランド)商品のレシート出現率に注目すると、「トップバリュ(7.4%)」よりも、「セブンプレミアム(15.7%)」のほうが、<+8.2pt>と出現率が高く、イトーヨーカドーでは、「セブンプレミアム さぬきうどん(レシート出現率 7.5%」や「セブンプレミアム ハンバーグステーキ 主に和風ソースの直火焼きハンバーグ(レシート出現率 4.0%)」のレシート出現率が高く、NB(ナショナルブランド)商品よりも、PB商品のほうが多く購入される傾向があります。
年代別で分かれる冷凍食品のニーズ
最後に、今後冷凍食品に期待するニーズを探るべく、まずは「冷凍食品において、どういったキーワードに購買意欲がそそられるか」調査をしました(選択肢・複数回答)。
年代別でみると「20代~30代」では、子育て中のファミリー層も多く、「大容量パック(46.4%)」や、「まとめ買いセール(35.3%)」といたお得感や値ごろ感がある言葉が響き、「40代以上」になると、「家庭で専門店の味(42.6%、40代以上平均値 N=2036人)」といった、本格的な味に対する支持が高まることがわかりました。
また、どの年代においても「野菜たっぷり(33.9%、全体平均値)は、3割以上に選ばれ、「カロリーや塩分カット(25.2%、全体平均値)」を挙げた人からは、「コロナ太りが気になる」「中性脂肪が気になるから」といった声があり、「糖質オフ(24.2%、全体平均値)」は、若年層「20代~30代(26.7%)」の支持が高いことがわりました。
他にも、「冷凍食品に対する要望」を尋ねると、「安くておいしい商品」といった声はもちろん、女性からは「冷凍野菜や肉・魚など調理用の食材を増やして欲しい」・「国産の冷凍野菜の種類を増やしてほしい」といった、日常的に冷凍食材を料理に取り入れたいという意識が感じられました。
また、パッケージや包装においては、「ごみができるだけ出ないような包装にしてほしい」、「冷凍野菜は、冷凍庫に沢山入るように、かさばらない包装にしてほしい」といった声があり、限りある冷凍庫の週能力を補うための「セカンド冷凍庫」のニーズが急速に高まり、従来の上開きタイプに加え、前開きタイプも普及していると言います。
コロナ禍で食に手軽さを求める傾向は今後も続き、冷凍食品の需要が伸びることが予想されます。新たな提案が商機となりそうです。