連載第1回目の前半は、「お弁当作り」をテーマに、POBアンケートによる「お弁当作りの実態」をレポートしました。
調査結果では、忙しい朝の短時間で効率的に用意したいと考える人が多く、作りやすさや、毎日メニューを考えることの大変さから、「自分で作るので変わり映えしない」「いつも同じメニューになってしまうが、新メニューを考えるのも面倒」など、メニューのマンネリ・ワンパターン化に悩み抱え、「栄養バランスを考えながら作るのは大変」と感じる人が多いことがわかりました。
後半では、お弁当作りのアンケート結果の続きと、お弁当のおかずに利用する人も多い「冷凍食品のレシート分析」を中心にご紹介します。
お弁当の調理時間は、15分程度が半数以上
上図は、お弁当を作る時間を表したものです(N=1254人、直近半年間でお弁当を作った男女)。お弁当を作る時間は、「(作り置き・前の日の夕食を詰めるなど)準備するだけ(17.1%」、「~15分程度(37.2%)」となり、半数以上(54.3%)が、「~15分程度」で用意をしていることがわかります。
お弁当おかず「冷凍食品」を使う人半数近く
短時間でお弁当を用意するために、お弁当のおかずの調理や用意の手段(選択肢・複数回答)として、およそ6割が「前の日の夕食(58.8%)」で最多回答となりましたが、半数近くが「冷凍食品を購入する(45.1%)」と回答しました。
「お弁当専用におかずを都度作る(28.1%)」人は、3割に満たない結果であったことがわかりました。
これまでの調査結果から、理想のお弁当についてまとめてみました。
「(材料の準備から)作る」、「食べる(食べやすさ)」、「後片付けがしやすい(調理の片づけ・お弁当箱の洗い物)」ことが簡単で、「彩り・栄誉バランス・傷みにくい」ことを意識したお弁当が、理想のお弁当であることがわかりました。
お弁当のおかずに、前の日の夕食を詰めるだけではなく、時短や簡単にバリエーションを増やすことができるため、重宝されることが多い冷凍食品ですが、新型コロナ感染拡大以降は、外出自粛や在宅勤務の浸透により、外食代わりや、仕事中でも手軽においしく調理できる便利な食事としても捉えられ、冷凍食品に対する消費者の意識が変化しています。
2020年の冷凍調理食品の家計消費支出は前年比13.6%増の6,563円。前年より増加となったのは2年ぶりとなり、冷凍調理食品の家計消費支出は2000年以降で最大であったといいます(総務省家計調査より)。これは、コロナ禍で冷凍食品の購入層が広がっていることが推測されます。
そこで次からは、POBデータの冷凍食品カテゴリーに注目し、スーパー・コンビニ・ドラッグストアにおける冷凍食品の購買行動を分析しました。
冷凍食品の平均購入金額、ドラッグストアがスーパーをわずかに上回る。
理由は安価に販売されているから
上図は、スーパー、コンビニ、ドラッグストアの冷凍食品購入レシートから、新型コロナ感染拡大前(2019年1月~ 12月)および、感染拡大後(2020年1月~12月)の購入状況(レシート1枚あたり平均購入単価・購入点数)を表したものです。
レシートからは、19年と20年では、大きな変化はみられませんでしたが、ドラッグストアでは、冷凍食品が安価に購入できるチェーンも多く、「ドラッグストア(330円)」が「スーパー(324円)」の平均購入価格を、わずかに上回る結果となり、「コンビニ(262円)」は、スーパーやドラッグストアと比較すると、平均購入金額が60円程度安くなります。()内は20年の平均購入価格。
では、業態別で購入されている冷凍食品をみていきましょう。今回は、セブンイレブン(CVS)、イオン(GMS)、クリエイトSD(Dgs)をセレクトしました。
各業態人気の冷食は「冷凍餃子」セブンプレミアムは様々な種類の冷食を提供
上図は、セブンイレブン(N=18,149枚)、イオン(N=12,729枚)、クリエイトSD(N=1,914枚)の冷凍食品購入レシートにおけるブランド別レシート出現率を表したものです。()内は、20年の冷凍食品レシート枚数、上位10ブランドまで
「セブンプレミアム 焼き餃子(6.4%)」、「味の素 ギョーザ(イオン2.3%)、(クリエイトSD3.7%)」と、手軽さやおいしさで、冷凍焼き餃子が各業態上位となり、根強い人気がうかがえます。
各業態の購入商品をみていきましょう。まず、コロナ禍で急速に冷凍食品の売り場を広げた「セブンイレブン」では、セブンプレミアムの様々な冷凍食品を消費者に提供し、購入されていることがわかります。特に、「セブンプレミアム 焼き鳥炭火焼き(3.9%)」、「セブンプレミアム 手羽中から揚げ(2.9%)」、といった、おかずにもおつまみにもなる、いわゆる「おかづまみシリーズ」が一定数購入されています。味だけではなく、トレーごと温めてそのまま皿として使える簡便さや、250円前後の価格帯で酒類など、他商品との取り合わせのよさが人気につながっていることが推測されます。
続いて「イオン」では、「ニチレイ ミニ春巻き(2.0%)」、「ニッスイ ちくわの磯部揚げ(2.0%)」などの、夕食の一品や、お弁当シーンで活躍するNB商品が、「トップバリュ きざみねぎ(1.7%)」や「イオンベストプライス うどん(1.7%)」といった、PB商品よりも購入されています。
最後に、「クリエイトSD」では、「ニッスイ ほしいぶんだけ コーンクリームコロッケ(5.0%)」、「ニッスイ 白身魚とタルタルソースのフライ(3.9%)」などの、揚げ物の他、「日清 スパ王プレミアム しらすのぺペロンチーノ(2.7%)」や「日清 具多 辣椒担々麺(2.2%)」などの、こだわりの麺類がランクインしていました。
今回の調査では、「お弁当作りの実態」と、関連する「冷凍食品」のレシート分析をしました。お弁当作りの悩みを抱える人のコメントでは、「簡単に作るとどうしても栄養が偏る」「栄養まで考える余裕がない」といった声も一定数みられました。コロナ禍で、予防意識や免疫力を高める食材を意識して摂り入れる人も多い中、毎日のお弁当となると、作りやすさや時短などが優先されてしまうようです。
冷凍食品購入シートにおけるブランド別出現率(POBデータ分析②)では、加熱するだけで、おいしく食べることができるおかずや、麺類などが上位となりましたが、最近では、「業務スーパー(神戸物産)」の、大容量でお得な冷凍食品や、下処理済みの冷凍野菜を活用することで、栄養バランスの向上や、料理時間の短縮につながり、多くの人からの支持を集めています。たまには、冷凍食品を調理したお弁当メニューで、脱マンネリしてみてはいかがでしょうか。
このようにPOBデータでは、各チェーンの利用動向や、他チェーンとの比較による傾向・実態を捉えることができます。コロナ禍で消費動向が激変する今だからこそ、こうしたデータに基づいた戦略の立案・実行を行いたいと思われるメーカー・小売りご担当者様は、ぜひ以下お問い合わせフォームよりご連絡ください。