食品業界最前線

コロナ後は「スーパー・ドラッグストア」は昼間 コンビニは夕方の買い物が増えた

フィールド・クラウドソーシング事業を展開する株式会社mitoriz(本社:東京都港区、代表取締役社長:木名瀬博)は、全国のアンケートモニター(以下、POB会員)から月間1500万枚のレシートを収集する国内最大規模の(提携サイト含める)、日本初のレシートによる購買証明付き・購買理由データベース「マルチプルID-POS購買理由データPoint of BuyⓇ(以下、POBデータ)」を活用し、生活者の購買行動を分析しています。

小売り大手は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い営業時間の短縮を続けています。そこで今回は、新型コロナ感染拡大前(19年)、感染拡大後(20年、21年)における、POB会員から収集した食品・総合スーパー、ドラッグストア、コンビニ各業態別のレシート合計枚数に占める発行時間帯別構成比から、コロナ禍の生活様式の時間帯別の消費行動を分析しました。

レシートには、購入時間が打刻されており、それを弊社でデータ化しているため、時間帯別の消費行動分析が可能となります。

図表1は、食品・総合スーパーにおけるレシート枚数構成比を、新型コロナ感染拡大前(19年)と感染拡大後(20年と21年)時間帯別で表したものです。

コロナ前(19年)とコロナ後(20年と21年)の構成比をみると、買い物時間帯のピークは開店直後と考えられる10時頃~正午であることは変わりませんが、コロナ後は、開店直後~午後5時頃までの時間帯において、コロナ前よりもレシート構成比が高く、買い物時間帯が早くなっていることがわかります。

続いて、図表2はドラッグストアにおけるレシート枚数構成比を、新型コロナ感染拡大前(19年)と感染拡大後(20年と21年)時間帯別で表したものです。

コロナ前(19年)とコロナ後(20年と21年)で、買い物時間帯のピーク変化がみられ、コロナ前は、午後午後6時以降の帰宅時間~夜間の構成比が高い状態が続いていたのが、コロナ後は、開店直後の利用が増え、夜間の利用が減少しています。

食品・総合スーパー、ドラッグストアともに、コロナ後の買い物時間帯が昼間に変化した理由をみると、「その日の特売をめがけて開店直後に行き、まとめ買いするようになった(30代専業主婦女性)」「在宅ワークになったため、昼休みに買い物に行く機会が増えた(40代就業中男性)」、「ドラッグストアが好きなので仕事帰りに毎日のように通っていたが、感染が怖いので行く回数が減り、人の少ない時間帯に時々利用するようになった(40代就業中女性)」「スーパーだけで用事を済ますことが増えた。どうしてもの時だけドラッグストアに朝一に行く(40代就業中女性)」など、在宅勤務の定着や、感染症対策、特売狙いなどの理由が挙がりました。

次に、食品・総合スーパーやドラッグストアよりも営業時間が長く、自宅や職場などから近く利便性も高いコンビニの買い物時間はどのような変化があったのでしょうか。

最後に、図表3はコンビニにおける時間帯別レシート枚数構成比で、新型コロナ感染拡大前(19年)と感染拡大後(20年と21年)時間帯別で表したものです。

コロナ前(19年)の買い物時間は、通勤時間帯の朝(午前8時)と、ランチ時間(午後12時)の構成比が大きく、通勤時間~ランチ(午前8時~12時)のレシート構成比は<35.2%>が、コロナ後(21年)は<28.5%>となり、6.7pt減少しました。

そして着目すべきは、コロナ後(21年)は、夕食前から夜間(午後4時~午後9時)のレシート構成比が<39.1%>となり、コロナ前(19年)<32.8%>よりも6.3pt増加し、昼間の客足が増えた食品・総合スーパーやドラッグストアとは異なり、コンビニでは夕方以降の客足が増えていることがわかりました。

コロナ前のコンビニといえば、おにぎりやお弁当など、いわゆる中食で売上を伸ばしてきましたが、コロナ後は、「カレーやシチュー、ハンバーグなど、チルド商品を購入する機会が増えた(50代男性)」「お総菜をよく買うようになった(40代女性)」「家のみが増えて、お酒やおつまみを購入回数が多くなった(70代男性)」といったコメントからもわかるように、主菜や副菜向けの商品の拡充や、冷凍食品の強化、家飲み需要など、新しい食卓ニーズの取り込みにより、客層が拡大し、利用時間が変化したことがうかがえます。

●調査概要 各業態の分析チェーン数とレシート枚数(19年~21年の合計)
「食品・総合スーパー」約180チェーン/856,561枚
「ドラッグストア」約60チェーン/396,284枚
「コンビニ」約20チェーン/556,672枚